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2021年11月21日

“こころ”を考える視点のひとつ、心の誕生と進化。心が進化するという視点で捉える。心は神の意図で完成しているのではない、人間が自らの生存を懸けて生み出し発展進化させて来ているものだ。人間が類人猿から枝分かれして独自の進化を始めた。それは脳の前頭葉を発達させるという戦略、方向性だ。

前頭葉は、脳の中にあるあらゆる情報を統合して「意味」を創り出す。「意味」は、出来事の「原因」と「結果」を結び付け、この結びつきを言葉にする。それが「理由」であり「理屈」であり「論理」であり「目的」であり「意図」である。そして、すべてのものには「原因」と「結果」があり、それを結び付ける「理由」「論理」があると考える「思考回路」を前頭葉に刻み込んだのだ。「思考回路」とは、脳神経細胞のシナプスの結びつきであり、そのネットワーク内での電気信号の流れ方、その強さだ。

さらに言えば、「原因」と「結果」の間には、時間が流れている。化学反応でも反応するまでの時間が必要だ。電子が流れる時間が必要だ。時間が存在しなければ、「原因」と「結果」はイコールで結ばれる。変化は生じない。進化も無い。人間が誕生するまでには130億年かかっている。

「原因」から「結果」が生じるまでに時間がかかるということから、人間はその時間の流れを「原因」と「結果」を結び付ける物語として理解する。物語には順序だった経緯が存在し、時の流れは過去から現在にとどまらず未来に向かって流れて行く。それが物語の持つ魅力であり、人間が物語を創り出す意味でもある。

人間の脳は、物語を通して理解を深めるように進化してきた。この物語を通して理解を深めるということが「人間らしさ」なのだ。だから人間は未来を想像する。そして想像したものを創造する。理想の人間になるために「神」を創った。最高最強の想像物であり想像物だ。これによって、権力と権威を創り出し、国を作り、戦争を創った。富を作りだし集中させたが同時に大量の死を創りだした。そして皮肉なことだが、数々の芸術(音楽・演劇・詩・小説・サーカスと言った肉体的パフォーマンス、絵画、服飾・彫刻、建築物・装飾物と言った宝石や黄金の棺、などなど)も創り出した。それらを創り出す技術や学問も創りだしてきた。

脳が物語を通して未来を夢見た世界を創って来たのだ。

では、現在の私たちはどんな未来を夢見ているのだろうか?一連の文の目的のひとつが、人類社会の明るい未来だった。「ホモデウス」が描いたのは、「科学が発達し、AIが健康を管理し、医学が死を克服し、人間が「神」になる。という一面では明るいように見える未来だが、そこには、富の集中が一層進み、「神」の存在になるのは、1%の富豪だけだ。それ以外の99%の人びとは、富の生産を生み出す者と、その富に触ることも出来ない貧困層となる。科学の進歩と医学に進歩を支える土台・様々なデータを生み出す者となる。

そうではない、明るい未来を描くために考えて来た。“こころ”の描く未来を。

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