2021年11月02日
さて、自分は何が好きなのかという問いは、自分の個性がどんなものかという問いだ。自分の“こころ”がどうなっているかということだ。
では、個性は“こころ”の奥底に探りに行かなければならないのか。そんな大げさなことではない。普段何をしているかを思い出すことから始める。朝起きてから、顔を洗い、朝ご飯を食べ、学校に行くか仕事に行く。そこで何をしているか、何をしている時に夢中になっているかを思い出す。学校や仕事が終わったら家に帰って来てから何をしているかだ。ゲームをするかもしれない。テレビを見るかもしれない。本やマンガを読むかもしれない。その時にどんな番組やゲームや本やマンガを読んでいるかだ。アクションものなのか、ロールプレイなのか、パズルなのか、絵が良いのか、キャラクターの性格か、行動か言葉か、声か、などを一つ一つ思い出すことから始める。何か見えてくるかもしれない。
これがキャリアカウンセリングの自己探索の方法のひとつだ。
とここまで書いていて、この前読んだ本に書いてあったことを思い出した。「ハビトゥス」という言葉だ。(言葉を思い出したのではなく、内容を思い出して、メモ帳で言葉を確認したのだけど(笑)。ハビトゥスとは、自分の好み=何が好きか嫌いか、価値観=何が良くて何が悪いことか、味覚=何が美味しくて何が美味しくないのか、美=何が美しくて何が美しくないのか、香り=何がいい香りで何が嫌な臭いなのか、音色やメロディーやリズムなどの音楽に対しても心地よい心地よくない、といった感覚の判断も、育った環境や経験によって決まるというものだ。
これは、人間がまっさらなものとして生まれ(実際は母親の中の胎児の時から環境の影響は受けている)環境の中で他者との関係の中で育ちながら人間になっていくということだ。それが感覚という肉体的な要素の強いものも、最終的に脳が判断しているということなのだと言える。様々な刺激を感覚器官が受けて、それを脳に送り、脳の中で記憶などをたどりながら、興奮するという信号に変えて、最終的に連合野に様々な信号として届き複雑に個々の神経細胞が興奮を繰り返し、最終的に判断する。そして同時に脳内ホルモンが刺激を受けて分泌され、感情として発露され、行動を促し、これで良しと「納得」する。
さまざまな刺激が複数の回路を通って、連合野に集合され、脳内ホルモンを分泌して納得感を持つことで終了していくというのが一連の流れだと思う。
それが、環境で形作られるというのが、ハビトゥスということだ。我々人間は、DNAだけで形作られるものではない。DNAは個性を創り出す大きな要素のひとつだが、それだけで個性が創られるのではない。そういえば、だいぶ前に自分を受け入れるために3つの要素があると書いた。市井三郎氏の指摘だ。自分の肉体、自分の家族、自分の社会を受け入れる。自分が今の自分に成ったのは、これら3つがからまって出来ているのだ。それを否定するのは、今の自分を否定することだと市井氏は言っていた。考え方の根本の感覚もそうだったのだということなのだ。
「みやじいのひとりごと」は今後も不定期に掲載予定です。
どうぞお楽しみに!